2歳で逝ってしまった、はなちゃんの死の記録です。
気分を害される方もいらっしゃるかもしれないので、
あえて別ウィンドウで展開しています。
2004年6月13日(日)夕方、妹からメールが届いた。 「はなちゃんが車にひかれて、亡くなりました。」 目を疑った。 先住猫のタマ(15歳)の病状が思わしくなかったので、 実家からのメール=タマの死の知らせ、と常に思っていたが、 予想もしていなかった突然の訃報だった。 2週間ほど前に実家に帰ったときに撮ったはなちゃんの写真を、 会社の同僚(猫好き)に見せて、「変な模様〜」と盛り上がった翌日のことだった。 ![]() 以下は、妹と父の話による。 母は旅行中。 日曜日で、父はスーパーに買い物に出かけていた。 妹は、庭の花壇に花を植えていた。 庭から、十字路が見下ろせる。 道の向こう側から、はなちゃんがこちらへ駆け戻ってくるのが見えた。 はなちゃんに、妹の姿が見えていたかどうかは分からない。 黒い軽自動車が十字路を通り過ぎ、 はなちゃんの姿は、前輪と後輪の間に消えた。 次の瞬間、はなちゃんの体が車の下からびっと飛び出し、 高く跳ね飛ばされた。 シャベルと軍手を投げ出して妹が駆けつけると、 はなちゃんは全身で激しく跳ね上がっていた。 あたりに血が飛び散っていた。 無我夢中ではなちゃんを抱えた。 腕の中で、まだ走り続けているかのように、 両足が前後にばたばたと激しく動いていた。 「今の車、私見ましたよ!」と、 ちょうど十字路に車で出ようとしていた女性が声をかけてきた。 近所によく来ている在宅介護サービスの車だった。 「病院まで乗せてくれませんか」と頼むと、 快く車を飛ばしてくれた。 助手席で道案内をする妹の腕の中で、 はなちゃんは痙攣し続けていた。 顔の半分がつぶれ、右の眼球がころりと飛び出している。 やがて痙攣が徐々に弱くなり、動きが止まった。 ![]() 動物病院の受付カウンター越しにはなちゃんを手渡すと、 「急患です!」と、はなちゃんは受付の奥の処置室へ慌ただしく運ばれていった。 待合室の洗面所で、両腕にべっとりついた血を洗い流した。 すると、両腕には無数の引っかき傷ができていた。 服も、血がしみこんでじっとりしていた。 家の鍵をかけてこなかったことと、 残してきた猫(タマと大将)の身が心配だった。 こうしている間にも、事故に合わないという保証はない。 不安に駆られ、看護婦さんに声をかけ、家まで走った。 帰宅して服を着替え、鍵をかけて家を出るところで、 買い物から帰ってきた父と鉢合わせた。 はなちゃんが車にひかれたことを伝え、再び病院へ走った。 父は、帰宅時に十字路にとびちった血を見つけて、「もしや」と思ったという。 「ちょっとね…だめみたい」と獣医は言った。 顎と喉の骨が割れて、出血していたという。 眼球が飛び出していたのも、頭への衝撃が強かったためだ。 心肺蘇生を試みたが、喉からの出血が多く、断念したそうだ。 はなちゃんは、バスタオルにくるまれていた。 瞼が接着され、飛び出した目も戻っていた。 顔の形は多少崩れたままだったが、 血はきれいに洗い流されて、黒々した毛艶も元通りになっていた。 タオルにくるまれた遺体を抱いて、泣きながら帰宅すると、 十字路の血痕は洗い流されていた。 日が沈む前に父が掃除をしてくれていたのだった。 翌朝、ペット霊園に遺体を引き取りに来てもらった。 庭に咲いていた青いサルビアと、好きだった餌を一緒に火葬してもらった。 ![]() ![]() その日、私と妹で家の網戸すべてに鍵を設置した。 今までは、猫たちは自ら網戸を開けて外へ出ていたのだが、 この日以来、猫を外に出さないことにした。 後日、車を出してくれた在宅介護サービスの女性にお礼をすると、 はなちゃんののたうち回っていた姿は、 まるで日なたで背中をゴロゴロとこすりつけて転がっているように見えたという。 妹の両腕の引っかき傷は、日に日に癒えていく。 はなちゃんの最後の生の証が消えてしまうと思うと、切ない。 ぽんたと大将だけが、2歳を迎えた。 ![]() |
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